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【まるで忍者】菊池涼介選手の守備は世界一なのか?数字から見た真実

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広島東洋カープの「不動のセカンド」で鉄壁の守備力を誇る菊池涼介選手。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でも1次ラウンドからスーパープレーを連発し、解説の原辰徳氏も「彼の守備範囲は世界一。決勝ラウンドで世界が驚く」と解説しています。

 

そんな守備に定評のある菊池選手ですが、果たしてその守備力はどれほどのものなのか、2016年シーズンの数字から検証してみました。

各ポジション別のUZRランキングはこちら。

 







 

 

菊池涼介という選手

 

菊池選手は2011年のドラフト会議で広島東洋カープから2位指名を受け入団。

2013年からはレギュラーとして定着し、この年「シーズン528補殺」という二塁手としては最多の記録を更新。

守備だけではなく、2014年には打率.325とセ・リーグ2位の記録をマーク。

2015年には日本代表にも選出され、名実ともに球界を代表する選手となった。

参考:Wikipedia

 

守備に定評のある選手ですが、打撃センスも光り2016年終了時点での通算打率.282と好打ぶりを発揮しています。

また、4年連続で二桁盗塁もマークしており、走攻守ともに揃っている選手です。




 

守備力の評価ってどうするの?

 

よく守備力の評価をするときに「失策数」を引き合いに出されることがあります。

もちろん失策は一つの指標として挙げることはできますが、失策数だけで守備力の評価をするのはナンセンスです。

 

例えば「頑張れば届くかもしれない」ギリギリの打球が飛んできたとします。

グラブには当てたもののギリギリ落としてしまうと「失策」としてカウントされてしまうこともありますが、そもそも打球への反応が遅くてボールを触ることもできなければ「失策」としてカウントされることもありません。

 

失策数だけでは「守備範囲の評価」をすることができないんですね。

 

レンジファクター(RF)という考え方

 

そこで考案されたのが「レンジファクター(RF)」です。

RFは「(刺殺+補殺)÷ 守備イニング数 × 9」で計算されます。

刺殺は打者または走者を直接アウトにした場合にカウントされ、補殺はアウトを補助する、例えばセカンドゴロでアウトにした場合はセカンドに補殺が、ファーストには刺殺がカウントされます。

 

RFは「1イニングあたりのアウト寄与率」とも呼ばれ、この数値が高ければ守備力が高いと判断することができます。

ただし、奪三振率が高い投手などの場合やあまり打球が飛んでこない場合、またファーストやキャッチャーはそもそも刺殺数が上がるため、本当の意味での守備力評価という意味では、まだ未完成であると言わざるを得ません。

 

RFの欠点を補完したゾーンレイティング(ZR)

 

RFの欠点を補完した考え方がZRです。

ZRは各ポジションにおいて実際に飛んできた打球をビデオなどで解析を行い、50%以上の確率で処理できた範囲を守備範囲として設定、その範囲に飛んできた打球をどれだけ処理できたかで算出される指標です。

ただZRにもデメリットがあり、例えば設定した守備範囲を超えて処理したファインプレーなどは算出の対象外となるなど、より正確な守備力評価の算出方法が求められました。

 

アルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)

 

ZRをさらに進化させたのがUZRという考え方です。

UZRの算出方法は非常に複雑でZR同様に個人が測定するのは不可能です。

簡単に説明をすると

  • グラウンドを多数のゾーンで区分け
  • 打球の種類(ゴロやフライなど)を記録
  • 打球の速度(遅い・中間・早い)を記録

上記の膨大なデータを基に各選手のプレーを評価していく方法です。

評価の方法は以下の通りです。

プラス評価

例として、平均的には15%の割合で中堅手がアウトにし、10%の割合で左翼手がアウトにし、残りの75%はヒットになるような外野へのライナーを考える。この打球について、仮に中堅手が捕球しアウトを成立させたなら、通常は25%しかないアウトの見込みを100%にしたものとして中堅手は100%と25%の差分である0.75「プレー」の評価を得る。

さらにUZRは守備の評価を得点の単位により行うため、プレー数の評価に得点価値を掛け合わせる。一般的な外野への安打はチームの失点を約0.56点増やす。また、アウトは失点を約0.27点減らす。すなわち、ヒットになるはずだった打球をアウトにする働きは守備側チームの失点の見込みを0.83点減らすことになる。プレー数0.75に得点価値0.83を乗じた0.6255点が、当該中堅手がそのライナーをアウトにしたことによって「防いだ失点」となる。

マイナス評価

仮に上記で例とした打球がヒットになった場合、中堅手と左翼手が共にマイナス評価を受ける。この際、まずヒットの発生によってどれだけの損害を被るかを計算する。通常25%はアウトになる見込みだったのだから、アウトにできなければ通常に比べて0.25プレーの損失が生じたことになる。

そしてUZRではこの0.25プレーの損失を、責任を持つ守備位置で分配していく。通常、左翼手がアウトにする見込みが10%、中堅手が15%であるから、左翼手は通常なら発生されるべきだったアウトについて40%(10/25)の、中堅手は60%(15/25)の責任を負う。すなわち、左翼手は0.25プレーの40%で0.1プレー、中堅手は0.25プレーの60%で0.15プレーのマイナスである。打球の得点価値は前述したように0.83点であるから、もし打球がヒットになれば、左翼手は0.1プレーに0.83点を乗じた0.083点、中堅手は0.15プレーに0.83点を乗じた0.123点だけチームの失点を増加させたとしてマイナス評価される。つまり、UZRでは、一般的にその守備位置の選手がアウトを成立させるべき打球をアウトにできなかったときにマイナス評価が与えられるのである。

出典:wikipedia

 

このように「過去の打球と守備」がどのような傾向にあったかを膨大なプレー数を通して算出し平均値を算出、実際のプレー内容でプラスマイナスの評価を行ったのがUZRです。

 

菊池選手のUZRは?

 

だいぶ前置きが長くなりましたが、それでは菊池選手のUZRです。

 

ちなみにUZRの評価基準ですが、平均的な選手を0(ゼロ)として+10で優秀選手、+15を超えるとゴールドクラブ級となります。

以下はプロ野球2016シーズンのセカンド(二塁手)におけるUZRのランキングです。

出典:Essence OF BASEBALL

出典:Essence OF BASEBALL

 

守備力評価の最先端指標であるUZRですが、菊池選手は2位の浅村選手を10ポイント近くも上回る17.3で堂々の1位でした。

UZRは守備機会が増えるほど有利になると言われており、試合数の条件を比較するためにUZR/1000やUZR/1200(ともに分母はイニング数)などがありますが、どちらの指標でもトップです。

なお、全ポジションにおけるUZRランキング1位はレフトの西川遥輝選手でした(UZR17.5)。

西川選手も守備範囲が広いので有名ですよね。

プロ野球全ポジションのUZR1位は?

 

最後に2016年のプロ野球ポジション別UZRです。

なおピッチャーとキャッチャーは処理すべき範囲がもともと狭いためUZRの算出からは外れていますので、その他7ポジションのみとなります。

 

ポジション 選手名 UZR
ファースト 中田翔 10.7
セカンド 菊池涼介 17.3
サード 松田宣浩 7.9
ショート 中島卓也 15.9
レフト 西川遥輝 17.5
センター 丸佳浩 11.8
ライト 鈴木誠也 10.3

 

まとめ

 

守備力を評価するのはとても難しく、単純な指標だけでは計り知ることができません。

そのために生まれたのがUZRで、このように統計学見地から客観的に評価する手法を「セイバーメトリクス」と言います。

UZRだけでなく色々な指標がありますので、こういった考え方や数値を知ると野球がさらに楽しくなりますね。

UZRはこちらから見ることができます。

Essence OF BASEBALL

 

以上、菊池涼介選手の守備力を数値で検証してみました。

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