福本伸行氏のマンガ「カイジ」に出てくる利根川幸雄。
大企業帝愛グループ最高幹部の一人である彼は、主人公のカイジを幾度となく苦しめ窮地に追いやった人物で、「金は命よりも重い…!」「勝たなきゃゴミだ!!」などの名言から拝金主義者であることが伺えます。
そんな利根川氏ですが、その風貌や役柄の魅力からかボクも含め読者から絶大な支持を集めています。
そして、先日「中間管理録トネガワ」というカイジのスピンオフ作品を見つけ読んでみたところ、正直本編よりも面白く、また実はかなり良い上司で見習うべきところが沢山ありました。
彼の考え方や行動、中間管理職の苦悩などが面白く描かれていましたので、ネタバレしない程度に紹介しつつ学ぶべきところをピックアップしてみました。
中間管理職トネガワ
中間管理録トネガワ(1) (ヤングマガジンコミックス)[Kindle版]
あらすじ
全4巻まで発売されており、累計部数100万部を突破しています。
また宝島社の「このマンガがすごい2017年」オトコ編1位を受賞しています。
中間管理職はツラいよ
すぐに気が変わる上司のワガママに常に応えつつ、機嫌が悪い時には罵倒され、自分の都合は関係なく呼び出される…
みなさんも経験ありませんか?
マンガでは面白く描かれていますが、サラリーマンのほとんどの方は同じような経験をされていると思います。
ボクもこないだまで10数年会社勤めをしていたので良く分かります。
どんなに仕事が出来ても結局は上司のご機嫌ひとつで物事はコロコロ変わってしまいますし、その辺は大企業の帝愛グループでも一緒なんだな~と感じます。
ある時、自分の命が狙われていると被害妄想に陥った兵藤会長は、利根川に影武者を探すように指示します。
あんな顔をした人間がこの世にもう一人いるのかと思いながらも、奇跡的にそっくりさんを見つけて会長の仕草まで調教したにもかかわらず、当の会長は次のブームが来ていて他のことを言い出す始末。
こんなこと、中間管理職にとっては日常茶飯事ですよね。
部下思いのトネガワ
そんな利根川氏ですが、上司の度重なる圧力にもめげずかなりの部下思いです。
また、作品内で出てくる数々のエピソードにおいて、部下を動かすという点においてはかなり長けていることが分かります。
さすが帝愛グループの最高幹部ですね。その一部を紹介します。
部下の名前を覚える
至極当たり前のことですが、こんなことも実践できない管理職の方って結構多いんですよね。
帝愛グループは「黒服にサングラス」がユニフォームなので見た目ではなかなか覚えることが出来ない中、利根川氏は彼らの名前を1日で必死に暗記をするという涙ぐましい努力をしていました。
ボクが以前勤めていた会社でも同じような上司(社長)がひとりいて、その方はなんと新入社員の名前まで暗記をし、自ら名前を呼んで挨拶をしていました。
「社長がボクの名前を憶えてくれていた」なんて気持ちにさせることが出来たら、その新入社員は会社のために一生懸命働いてくれることでしょう。
会議でたくさんのアイデアを出させるために
みなさんの会社では会議で活発に意見が飛び交っていますか?
もし意見が全然出ていないというのなら、それはもしかしたらご自身のせいかもしれません。
利根川氏はまず部下の緊張を解きほぐすために「ユーモアという潤滑油」を流し込みました。
「ユーモアなんて自分にはない」なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、正直面白い・面白くないは関係ありません。
部下が緊張しているのは上司であるあなたが存在しているからであって、緊張から解放するには「なんでも言っていい」環境を上司自ら作り出す必要があります。
もちろんそれだけでは動き出さない社員もいます。
出世や評価という目に見える餌も同時に与えることで、現金な部下も巻き込んで活発な会議となります。
部下に背を見せる姿
作品中、部下とギクシャクした利根川は休みを使ってみんなでバーベキューへ行くことに。
それをご機嫌取りだと察した部下は、錆びている鉄板を持ってきてバーベキューを中止するように仕向けます。
ですが、利根川は自ら代わりになるものを探しに行き、見つけます。
そう、今後自分が使うことになる土下座マシーンを。
物語はまだカイジと対峙する前の出来事なので、利根川氏は見つけた鉄板を土下座マシーンとは知らない訳ですが、部下が頼りないからと怒鳴り散らすのではなくて、文句ひとつ言わずに率先して鉄板を探しに行く姿からは、チームの一員として頑張っている利根川氏の思いが強く伝わってきます。
部下の指摘を素直に受け入れる
兵藤会長の暇つぶしとして悪魔的企画を計画しなけばならない利根川は、自分のアイデアを部下に聞かせました。
ですがこの企画の欠点を部下に指摘されます。こんなとき皆さんならどう対応しますか?
思わず部下を怒鳴ったりゴリ押しで企画を進めたりしていませんか?
利根川氏は部下の指摘を素直に受け入れた上で、さらなる企画を部下に求めます。
部下の中には、ただとにかく相手の意見を否定するタイプもいますので、利根川氏のように代案を求めることでチームにとってプラスになります。
肩書という鎧で自分を大きく見せていませんか?
人は誰しも褒められたい・認められたいという欲求があります。
そのせいか、自分のことを大きく見せようとする人がいます(特に肩書のある人に多い)。
でもちょっと待ってください。あなたは会社を離れればただのおじさんですよ。
部下があなたにヘコヘコしているのは、なにもあなた自身に頭を下げているのではなくて、あなたの「肩書」に頭を下げているのです。
もしあなたが何かしらのトラブルを起こしてしまって降格でもしてしまったら、途端に周りから人がいなくなりますよ。
等身大の自分を見せることであなたの人と成りが伝わり、部下と何も変わらない人間であることを示すことが重要です。
以上、「カイジの利根川に見る理想の上司像」についてでした。