プロ野球を観戦する上で、素晴らしい守備というのは楽しみの一つですね!
今回は、守備力を測るための一つの指標であるUZRの面から2017年のショートのランキングを見ていきたいと思います。
2016年のUZRランキングはこちら
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2016年プロ野球ポジション別UZRランキングを作ってみた
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UZRとは
はじめにUZRについて確認しましょう。
守備の指標といえば、まずは守備率ですね。
守備率=(刺殺+補殺)/守備機会数(刺殺+補殺+失策)で計算されます。
守備率が高いほど、守備機会に対して失策する確率が低い選手ということになります。
でもエラーが少ない=守備が上手いというのは正しいとは思いますが少し物足りない感じがしますね。
守備率は守備範囲を考慮しないので、ある打球に対してA選手は打球に追いついたが捕球できずにエラーと判定され守備率が下がり、B選手は全く追いつかなかったため守備率に変動なし、という現象が起きてしまうのです。
そこで予め各ポジションが受け持つゾーンを割り当て、そのゾーンに飛んできた打球をどれだけ処理できたかを測るゾーン・レーティング(Zone Rating)という考え方が生まれました。
このZRという数値は、打球の難易度については考慮されていません。一口に打球と言っても全く同じ打球というのは存在しませんから、ゴロかフライかライナーか、あるいは強い打球か弱い打球かなどは重要な項目ですね。
ZRに打球の難易度の要素を加えたのがアルティメット・ゾーン・レーティング(Ultimate Zone Rating)です。
打球のひとつひとつについてグラウンド上の「どこのゾーンに飛んだ」「どのような打球か」を目視で確認してデータを蓄積していきます。
とてもじゃないですが個人でやるのには限界がありますね。
内野手の評価は「守備範囲」「失策」「併殺奪取」、外野手は併殺奪取の代わりに「肩力」が加わります。
ショートを例に説明しましょう。
三遊間に飛んだ打球が、平均的な遊撃手が60%の確率でアウトにできる打球であったとします。
この打球をアウトにした場合、アウト獲得数1から見込み数である0.6を引いた0.4だけ、平均的な遊撃手に比べてプラスされます。
アウトにできなければ、期待されたアウト獲得数である0.6の分だけマイナスされます。
このようにしてデータを積み重ねていき、さらに平均が0となるように調整を行います。
平均が0なので、積み重ねられたデータがプラスなら平均より上、マイナスなら平均より下ということになります。
NPBではDELTA社とデータスタジアム社が独自に算出しています。
DELTA社が全12球団のデータに基づいて平均が0となる調整をしているのに対して、データスタジアム社はセリーグ・パリーグそれぞれ6球団で調整をしているため、両社で数値が異なることがあります。
2017年UZRランキング(ショート)
UZRが何か分かったところで2017年シーズンのショートのランキングを見ていきましょう!
(※試合数の条件を揃えて選手を比較するために、1000イニングあたりのUZRを示すUZR/1000を参照しています)
1位 源田壮亮(西武)UZR:17.0
2017年のUZR1位は、なんとルーキーの源田選手でした。
2位以下を引き離し、素晴らしい数値を残しました。
西武快進撃の原動力のひとつですね。
派手さはありませんが、ルーキーでゴールデングラブ賞を獲得するか注目です!
2位 安達了一(オリックス)UZR:13.9
2位はオリックスの安達選手です。
安達選手は過去3年を振り返ってもトップクラスの数値を残していますが、ゴールデングラブ賞を獲得したことがありません。
ゴールデングラブ賞はファインプレーなどで印象に残った選手が選ばれる傾向にあり強いチームから選ばれることが多いので、チーム状況も影響しているのかもしれませんね。
3位 坂本勇人(巨人) UZR:8.5
3位にセリーグの選手が初登場しました。
華麗なプレーが印象的な坂本選手ですが、UZRを見ても安定した成績を残しています。
魅せるプレーもでき、守備力も高い。
見ていてワクワクする選手ですね!
4位 京田陽太(中日)UZR:5.6
源田選手に続き、ルーキーの京田選手が4位にランクインしました。
1位の源田選手には及びませんが、低迷するチームで最多の試合出場しての成績ですから、十分健闘したと言えるでしょう。
源田選手とともに日本を代表するショートになってほしいですね!
5位 今宮健太(ソフトバンク)UZR:4.3
5位はソフトバンクの今宮選手です。
今宮選手は4年連続ゴールデングラブ賞を獲得していますが、2017年のUZRは平均よりやや上といったところです。
守備率では.988と1位の成績を残しています。
6位~10位
6位~10位については以下の選手となります。
- 6位 中島卓也(日本ハム)UZR:6.0
- 7位 田中広輔(広島)UZR:-0.7
- 8位 茂木栄五郎(楽天)UZR:-5.5
- 9位 大引啓次(ヤクルト)UZR:-13.1
- 10位 倉本寿彦(DeNA)UZR:-13.2
6位の中島選手は栗山監督から「守備面では12球団ナンバー1」という絶対的な信頼を置かれています。
守備とは直接関係ありませんが、2017年7月に2287打席目でプロ初本塁打を放ちました。
7位の田中選手は日本代表にも選ばれ守備が上手いイメージですが今年はマイナスでした。
それ以下の選手もマイナスとなっています。ショートはトップから下位までの差が激しいですね。
特にDeNAの倉本選手は日本シリーズでも痛恨のエラーをしてしまいましたので「守備が上手くない」という印象もお持ちの方も多いかもしれません。
しかしラミレス監督は倉本選手への厚い信頼を置いていますので、ジャイアンツで使われ続けてきた坂本選手のように飛躍してくれると嬉しいですね。
まとめ
今回はUZRを元にショートの守備について見てきました。
守備の難易度が高いショートでルーキーが二人も上位にランクインするのは珍しいことです。
しかし今年良かった選手が来年も良いとは限らず、3年ほど安定した成績を収めて初めて守備に定評があると言えるようです。
来年以降も頑張ってほしいですね!