病院にいくと薬局が必ずと言っていいほど2~3件はありますよね。
あんなに沢山あるのはなぜだろう?
潰れちゃったりしないのかな?
とついつい心配になってしまいますが、実はそこには複雑な理由がありました。
今回は薬局の多さとその理由、そしてなぜ潰れないのかについて分かりやすく解説していきます。
薬局
皆さんは、 薬局は全国に58,000件もある ということをご存知でしたか?
確かに病院と薬局はセットな印象がありますが、それにしても多いですよね。
事実この58,000件という数字は驚異的で、全国にはコンビニが約54,000件ありますがそれと比べても多く、コンビニより身近に薬局は存在しているということになります。
でも、それに比例するように病院の数も多いのかと言われればそんなことはありません。
平成28年度の医療施設動態調査によると、全国の私たちが普段行くような一般病院の数は7,408件です。
もちろん歯医者やその他診療所などを加えれば多くはなりますが、それでも薬局がいかにものすごい数存在しているかが分かりますね。
薬局と病院の増減
さらに、薬局は増加の一途をたどっています。
一例をあげると、1990年代には36,000程度だった薬局の数は、毎年1,0000~20,000ずつ途切れることなく増え続け、2000年代には50,000を突破、そしていまだに増え続けています。
一方でそれと反比例するように病院の数は減少傾向にあります。
1990年代には20,000を超える一般病院が存在しましたが、減少を続け現在に至っています。
病院数の減少の背景には、日本社会の少子高齢化が大きく関係しているそうで、高齢者が増加するにつれ入院日数は当然増えていきます。
そのため国は病院数、病床数を増やさないという方針を発表しました。
そして高齢者医療に関してはいわゆる『かかりつけ医』による訪問や診療をしながら自宅治療を推奨していくという風に移行させています。
そうして病院が減る一方で薬局が増え続けている要因としては、 薬局自体の利益性の高さ があります。
薬局は単にお薬を渡しているだけではなく、処方箋を受け取り、薬を調合し、患者とのヒアリング作業を通じた記録などなど多くの仕事をしていて、これらはすべて『サービス料』として取られています。
さらに、薬局自体の認可の規制の緩さなどの要因も合わさり、儲かりやすくさらには開設しやすいということで薬局の数は増え続けています。
この利益性の高さは、同時に増加し続けながらも潰れない大きな要因となっています。
薬局と病院の関係
では、そもそも薬局が病院にくっついて存在しているのはどういう理由からなのでしょうか?
実は薬局と病院は法律上経営者が異ならねばならず、さらに親族が経営している場合も許可されない為に、病院が出来ると薬局は我先にと隣に建てたがるというわけです。
なんだかパチンコ店と景品交換所の関係みたいですね。
もちろん友達であったり、一緒に初めから決めていた場合は別ですが。
薬局も商売ですから、病院の近くにあるに越したことはありません。
なので、より儲けを出すために病院の近くに幾つも薬局が出来るというわけです。
逆に、薬局が医師を誘致することもあります。
近くに建てられてもサービスが悪ければ患者は別の薬局に逃げてしまいます。
なので情報をいち早くつかむ人脈やサービス体制の構築といった意味で薬局は厳しい商売であるともいえます。
まとめ
減少の一途をたどる病院とは対照的に増加し続けている薬局はついに58,000件にまで膨れ上がりました。
その背景には日本が抱える少子高齢化や、ビジネスとしての薬局の有用性、そして開設の容易さがありました。
とは言っても病院の近くにあるほうが有利になるため基本は情報をはやく掴んだものが勝利する厳しい世界のようです。