少し前までは毎月のようにニュースから流れていましたが、最近はあまり耳にしなくなった「為替介入」
この為替介入について、日銀の目的やその仕組み、そして介入による為替へのインパクトを含めまとめてみました。
為替介入の目的とは?
為替介入は正式には外国為替平衡操作と言います。
政府は円相場の安定を図るために財務大臣の権限において為替介入を実施します。
FXでは会社からプロトレーダー、はたまた個人投資家に至るまで様々な方が参加され、需要と供給によって価格が決定されます。
その取引額は莫大で、世界規模での1日当たり取引額はなんと200兆円にも上るとされています。
でもそんな莫大な取引額においても、為替価格を操作しようとする人たちがいます。
それがヘッジファンドや政府です。
1990年代に政府VSヘッジファンドの大きな対決がありました。
要約すると、失業率が10%を超えるなど経済が悪化しつつあったイギリスのポンドが実体経済に合わないとして、ジョージ・ソロス率いるヘッジファンドがポンドの売り浴びせ攻勢を仕掛け、為替介入を続けたイングランド銀行を打ち破り破産させてしまったという、壮絶な物語です(実在する話です)。
このときはジョージ・ソロス本人が「ポンドが実態経済とかい離している」として売り浴びせを仕掛けたのですが、これもある意味為替介入と捉えることができます。
イギリス政府はたまったもんじゃありません。
度重なる為替介入で目標レートに持っていこうとしてもソロスの売り浴びせに遭い、ついには敗北を喫してしまいました。
ここまで大きな話を聞いたことはありませんが、私たちの知らないところで似たようなことは起きているのかも知れません。
日本でも度重なる円高に悩まされ、政府が為替介入を実施している時期がありました。
日銀の為替介入による為替変動
実は日銀による為替介入は、安倍政権になってからは実施されていません。
最後の為替介入は2010年まで遡ります。
最後の介入はドル買い円売りでしたが、これは2009年9月から2010年12月まで定期的に実施されていました。
その当時のドル円チャートです。
2009年初めには100円前後だったドル円価格が、80円台から70円台にまで突入するという未曽有の円高の時期に当てはまります。
そう、このタイミングはあの「リーマン・ショック」の時期と重なります。
日銀はこの間、1600億円近くの円売り介入をしました。
それでも極度の円安となり、世界同時不況の波に抗うことはできませんでした。
でも逆に考えれば、これだけの介入が無ければ更に円高となり、我々の生活を脅かしていたのかもしれませんね。
過去の為替介入タイミング
入手できる資料としては一番古いデータで平成3年(1991年)でしたので、そこから追っていきます。
・1991年5月から1992年8月まで77億円以上のドル売り円買い
138.07円から126.28円へ変動
・1993年4月から1996年2月まで1000億円以上のドル買い円売り
112.40円から105.68円へ変動
・1999年6月から2001年9月まで1300億円以上のドル買い円売り
120.65円から118.72円へ変動
・2003年1月から2004年3月まで3500億円以上のドル買い円売り
118.76円から108.614円へ変動
他にも期間が短かったり他通貨への介入などもありますが、比較的介入の期間が長いものを抜粋してみました。
※変動の価格は該当月の平均価格です
こうしてみると日本の為替政策は「円安(円売り)方向」であることが良く分かります。
さらに付け加えると、105円から125円付近が為替目標のラインであることが分かります。
ただ「ドル円は100円を切ることは無い!」などの思い込みでトレードするのが一番怖く、もしそういったマインドのまま100円を切ってしまったら損切できずに退場…なんてことにもなりませんし、いつ日本版ジョージ・ソロス氏が出てくるかも分かりませんから、しっかりとストップを入れてトレードしていくことがFXをやっていく上では一番重要ですね。