一昔前のサードといえば、どちらかというと「足が遅い・守備は得意ではない選手」が守るポジションのように考えられてきましたが、近代野球においては「ディフェンス面」もオフェンス同様に重視され始めていて、「良く打つが守りはザル」という選手はレギュラーを獲るのが非常に難しくなっています。
日本一を奪還した福岡ソフトバンクホークスは打撃・投手力ともにトップクラスを誇りますが、特に凄かったのが堅固な守備力。
レギュラーシーズン143試合においてエラー38個という数字は、試合数に換算すると3.8試合に1つという驚異的な失策数です。
もちろんエラーをしないということはひとつの評価軸ではあるものの、打者や配球による守備位置の変更、打球への反応速度なども加味することが守備力を測るためには重要です。
そこで総合的な守備力の評価として考えられているのがアルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)という指標。
今回はUZRランキングのサード部門を解説していきます。
守備力を測る指標のことで、守備位置や打球方向・打球の強弱を全て記録した上で平均的な選手が0になるよう調整します。
UZRがプラスなら平均より上、マイナスなら平均より下ということになります。
2017年UZRランキング「サード」
右打者が大勢いる日本球界において、サードというポジションは「とにかく打球が早い」ので、ボールへの反応速度が重要です。
昔プロ野球選手が打ったボールをレフトで処理しようとしたところ、あまりにも早くてトンネルしたことがありますが、それくらいプロ野球選手の打球は早く、芯を食ったボールは170キロにも達します。
およそ素人では打球に反応することも難しいサード、プロ野球2017年のUZRを1~10位までまとめてみました。
1位 安部友裕(広島)UZR:12.8
サードの1位は今年ブレイクした安部選手でした。
広島には菊池選手という名手がいて、ショートのレギュラーには田中選手がいます。
ここ数年カープはサードを固定できていませんでしたが、安部選手がサードでレギュラーとなれば広島の内野は鉄壁ですね!
2位 宮崎敏郎(DeNA)UZR:11.4
2位に宮崎選手がランクインしました。
今年は首位打者を獲得するなどバッティングでの活躍が目立ちましたが、守備でも好成績を残し飛躍の年となりました。
もともとセカンドも守っていて守備にも定評のある宮崎選手。
このまま守備もバッティングも好調を維持できればDeNAは強くなりそうですね!
3位 松田宣浩(ソフトバンク)UZR:4.1
3位にパリーグの選手が初登場しました。
松田選手は今年5年連続となるゴールデングラブ賞を受賞し、三塁手部門の連続受賞の最多記録を更新しました。
WBCでは準決勝で痛恨の捕球ミスもありましたが、シーズンで結果を残すところはさすがですね。
年齢的にも脂がのりきっている時期ですので、今後どこまで連続受賞が伸びるかにも注目です!
4位 中村剛也(西武)UZR:0.6
4位は過去に最多失策のワースト1位になってしまったこともある中村選手です。
体型からして守備は得意ではなさそうに見えますが、UZRは若干ですがプラスです。
打力が魅力の選手ですから、守備は平均でも充分チームには貢献していますね。
ケガが多いのが難点ですが、何事もなくシーズンを終えることができれば50本塁打は打ってくれそうな逸材です。
5位 藤井亮太(ヤクルト)UZR:0.0
藤井選手はちょうど平均値の0.0。
捕手登録ですが、川端選手の怪我などがありサードに抜擢されました。
2013年に社会人から26歳でプロ入りした藤井選手ですが、2017年はプロ入り最多となる97試合に出場しました。
年齢も近い川端選手とのポジション争いに注目ですね!
6~10位
6位以下の選手は全員がマイナスでした。
6位 レアード(日本ハム)UZR:-2.6
7位 マギー(巨人)UZR:-10.3
8位 ウィーラー(楽天)UZR:-6.9
9位 鳥谷敦(阪神)UZR:-11.3
10位 小谷野栄一(オリックス)UZR:-21.4
外国人選手は守備よりもバッティングが期待されることが多いので、守備面に課題があるのは仕方がないことかもしれません。
気になるのは2017年サードで初のゴールデングラブ賞を獲得した鳥谷選手です。
今年からサードにコンバートされましたが、大きくマイナスとなってしまいました。
過去4回ショートでゴールデングラブ賞獲得歴のある名手ですが、数字を見る限り年齢的な衰えが感じられますね。
まとめ
以上、サードで規定守備イニングに到達した選手10人をご紹介しました。
昔は「4番サード」など花形だったポジションですが、三塁線を抜かれてしまうと長打になってしまうため失点に繋がりやすいポジションでもあります。
UZRは「他のプレイヤーよりどのくらい失点を防いだか」という指標でもあるため、どうしてもサードだとUZRの上下が激しくなる傾向があります。
かといって三塁線に寄り過ぎたりポジションを後ろにしてしまうとヒットゾーンが広くなってしまうので非常に難しいポジションですね。