2016年12月4日にイタリアで憲法改正の是非を問う国民投票が行われました。
このイタリアでの国民投票、世界中で注目されているようですね。
なぜなら、6月に実施されたイギリスのEU(欧州連合)脱退を問う国民投票では、まさかの賛成派が過半数を超えるというサプライズが発生、大幅なポンド下落のみならずその他通貨までをも巻き込んだ大事件が投資家の脳裏にいまだ焼き付いているからです。
イギリスのEU脱退(ブレグジット)ではこれだけのインパクトを残した!
2016年6月23日に実施されたイギリスのEU脱退の是非を問う国民投票は、
以下は6月24日前後のポンドドル5分足です。
なんと、6月24日の0時(日本時間6時)から7:30(日本時間13:30)までの間に、1.50⇒1.32まで1800pipsもの急降下となりました。
その後も下落は続き、一時1.20を切るまで下降トレンドは継続しました(現在は1.27レベルまで回復)。
さらにはドル円や豪ドル円など、直接的には関係のない通貨ペアにまで飛び火し、一時は世界恐慌の始まりか?とまでささやかれる事態にまで発展しました。
イタリアはなぜ国民投票を行う必要があったのか
今回の国民投票の結果を受け為替相場はどうなっていくのかを考えていく前に、まずは「なぜ国民投票を実施する必要があるのか」についておさらいしてみます。
イタリアの政治では、アメリカのように上院・下院の両院制が敷かれています。
今回問題視されているのが、上院から内閣不信任などを剥奪することについての是非を国民投票で決めよう、というのが主旨です。
イタリアではここ数年短命内閣が続いており、安倍内閣発足前の日本みたいな状態なんです。
そこで、上院から内閣不信任の権利を剥奪することによって不安定な短命内閣を是正しようというのが本来の目的です。
しかし、問題なのは反対派に回ったベッペ・グリッロ氏率いる「五つ星運動」の振興野党の存在です。
グリッロ氏は元々人気コメディアンでしたが、20年近く政治経済の風刺コメディをしてきた人物です。
そして彼は、現在のEUという組織に懐疑的な考えの持ち主であり、今回の国民投票が反対派多数となればイギリスの二の舞になるのではないかと容易に想像できます。
さらに、最近は既存政治にNOを掲げる勢力が台頭しています。
イギリスのブレグジットしかりトランプ氏の大統領選挙勝利しかり。
なんでしょうか、こういう「なんでも反対派がいい」的なノリは少し怖い気もしますが。
レンツィ首相退陣によるマーケットへのインパクトは?
本日のドル円は予想通り窓を開けてのスタートとなりました。
そのまま一時113円を切る展開となりましたが、その後は窓を埋めながらさらに上昇、しかし直近高値を超えることはできずに再度失速するという流れとなりました(東京市場)。
ただ日足レベルでは押し目の形成中ということもあり、ブル派とベア派の攻防でいまいち方向感が読み辛い状況です。
今回のイタリア国民投票ではそこまで大きなインパクトを残すことはありませんでしたが、問題は始まったばかりです。
前述したようにベッペ・グリッロ氏はEU賛成派ではないため、今回「五つ星運動」の勝利に終わったことで政権交代もありうる展開になりました。
また五つ星運動は「EU脱退の国民投票」を掲げているだけに(また国民投票かいな)、今回の国民投票が引き金となる可能性は高いです。
そういえば、もしイタリアがEUを脱退を表明したならば、略称はどうなるんですかね?
イギリスの場合は、BritishとExitでBrexit(ブレグジット)でしたから、イタリアだとItalyとExitでItaxit(イタグジット)ですかね(笑