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wOBAとOPSの違いってなに?打者の攻撃力を測るセイバーメトリクス指標を解説

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今回は野球の統計学、セイバーメトリクスについてご紹介します。

プロ野球をご覧になる方なら耳にしたことがあるのではないでしょうか?

 

難しそうでとっつきにくいですが、少しでも分かるようになればもっと野球が面白くなるかもしれません!

ぜひ読んでみてください。

 







 

セイバーメトリクスとは

まずはじめに「セイバーメトリクス」の語源について見ていきましょう。

 

セイバーメトリクスとは、ボストン・レッドソックスのシニアアドバイザーなどを務めたビル・ジェームズ氏が作った造語です。

アメリカ野球学会(The Society for American Baseball Research)の頭文字と、「測定基準」や「尺度」を意味する「metrics」(メトリクス)をくっつけたものなんですね。

様々な統計から選手を客観的に評価するための指標です。

 

ビル・ジェームズ氏は1977年に自費でセイバーメトリクスに関する本を出版しますが、当初はなかなか認めてもらえませんでした。

しかし2003年に「マネーボール」がヒットしたことでMLBの姿勢が変わります。

 

財力のないチームがセイバーメトリクスを使った戦略で4年連続でプレーオフに進出するという快進撃が知れ渡ったことによって、現在ではMLBで常識となりました。

 

打者の攻撃力を測るセイバーメトリクス指標

セイバーメトリクスは投手・打者ともに多くの指標がありますが、今回は打者の指標について見ていきましょう。

名前からして難しそうに感じますが、比較的なじみのある出塁率や長打率なんかもセイバーメトリクスの一種なんです。

 

攻撃において最大の目標は得点を挙げることですね。

「チーム得点」と関係の深い指標を調べてみると、選手の「出塁率」と「長打率」がチームの得点力との関係が深いことが分かりました。

 

この関係を元に考え出されたのが、

OPS(On Base Percentage Plus Slugging Percentage)という指標で、単純に「出塁率」と「長打率」を足したものです。

OPS=出塁率+長打率

 

2017年のプロ野球OPSランキングベスト5位がこちらです。

 

セ・リーグOPSランキング

  1. 鈴木(C) .936
  2. 筒香 (DB) .906
  3. 丸 (C) .903
  4. マギー(G) .897
  5. ゲレーロ(D) .896

パ・リーグOPSランキング

  1. 柳田 (H) 1.047
  2. 秋山 (L) .976
  3. ペゲーロ(E) .918
  4. 茂木 (E) .896
  5. T岡田(Bs) .882

平均がだいたい0.6前後で、0.8を超えると主軸級、1を超えると超一流と言われています。



MLBで主流の指標「wOBA」

しかし出塁率や長打率が得点との関係が深いとはいえ、ちょっとざっくりしすぎでは?という気もしますね。

そこでOPSより精度を高くしたものがwOBAです。

 

wOBAとは「weighted On-Base Average」の略で、チームが得点を挙げるために打撃でどれくらい貢献したかを評価する指標のことです。

打者を評価する際には現在最も信用できる指標と言われています。

 

wOBAの計算式はこちら

wOBA={0.55×(四球−故意四球)+0.58×死球+0.92×失策出塁+0.70×単打+1.04×二塁打+1.39×三塁打+1.68×本塁打}×1.25/(打数+四球−敬遠+犠飛+死球)

 

一気に複雑な計算式になりました。

それぞれの係数は長い期間の統計を元に算出されたもので、正確にはシーズンごとに異なります。

 

2017年9月時点でのプロ野球wOBAランキングベスト5位がこちらです。

 

セ・リーグwOBAランキング

  1. 鈴木(C) .403
  2. 丸(C) .395
  3. 筒香(DB) .392
  4. マギー (G) .387
  5. ゲレーロ(D) .383

パ・リーグwOBAランキング

  1. 柳田(H).432
  2. 秋山 (L) .407
  3. T岡田(Bs).388
  4. ペゲーロ (E) .381
  5. 茂木(E).374

 

出塁率と同じ感覚で扱えるように調整されており、平均値は.330です。

順位は多少上下しますが、顔ぶれはOPSと同じですね!

 

wOBAの計算式に入っているものがほとんど出塁率と長打率に含まれているので当然といえば当然ですが、なかなか興味深いことではないでしょうか?

メジャーで最も使われている指標とはいえwOBAは専門的な知識も必要としますので、ファンとして楽しむのであればOPSで十分かもしれませんね。

 

ちなみに日本が誇るヒットメーカー「イチロー」ですが、シーズン262安打というアンタッチャブルレコードを残した2004年はwOBA.379という数字でした。

やはり「出塁」への加重が高過ぎるため、「チームが得点を挙げるために打撃でどれくらい貢献したか」で考えてしまうと、少し評価が下がってしまうようです。

 

まとめ

今回は日本ではまだあまり馴染みのない指標である「wOBA」について紹介してみました。

 

「野球は投げた球を打つ」スポーツですが、勝敗を科学的に分析していくと単純ではない競技であることが分かります。

最近ではトラックマンによる弾道やボールの回転数などの計測も始まっていますし、守備の試合貢献度を測るUZRなんて指標もあります。

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まだまだ発展途上のセイバーメトリクスですが、今後ますます重要視されていくことは間違いないでしょう。

少しずつ学んでいけば、プロ野球がもっと楽しめるようになるかもしれませんね!

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