東京都文京区で新しい取り組みが始まります。
その名も「こども宅食」
流れはいたって簡単で、ふるさと納税という形でプロジェクトオーナーである子供宅食コンソーシアムへ寄付、集まった寄付金を使って生活の厳しい一人親家庭など1,000世帯を対象に1-2か月に1回、ダンボール1箱(10kg)の食品を届けるプロジェクトです。
こども宅食は文京区と5つの非営利団体が共同で運営しています。
貧困で悩んでいる家庭のセーフティネットを創り、この仕組みを全国へ波及させたいという目標のもとに活動しています。
日本の貧困家庭割合
現在の日本は栄養失調や餓死などとは無縁の国になっている、と心の中で思っていました。
しかし厚生労働省の発表によると、貧困ラインと言われている所得122万円を下回る家庭は2015年時点で15.6%、ひとり親世帯の相対的貧困率は54.6%という非常に高い水準になっていることを、この記事を書いていて初めて知りました。
およそ6.4人に1人が貧困ラインに、そしてひとり親世帯の半数以上が貧困状態であるという現状を目の当たりにして衝撃を受けました。
こども食堂には行き辛い現状
こういった事態を軽減するために、行政や各自治体などで様々な取り組みを行っています。
その中で最近注目を浴びているのが「こども食堂」です。
ひとり親世帯などでこどもが満足な食事をできないなどの様々な事情を抱えた家庭が低価格(大人300円・子供無料など)で食事をとることのできるサービスで、全国にネットワークが広がりつつあります。
しかし、「貧困」ということを他人に知られたくないといった気持ちがあり、利用しづらい現状があります。
自分はいいけど、もし子供が貧困をネタにいじめられたらどうしよう、といった不安もよぎってしまいます。
LINEで貧困家庭を支援
他にも貧困家庭の支援を邪魔するものがあります。
それが「本当に困っている方へ情報を届けられない」ということです。
特にひとり親世帯だと、こどもの世話と生活費を稼ぐことで精一杯になり、平日役所へ行く時間もありません。
こども宅配はこういったご家庭でも簡単に申し込みができるよう、LINEでの手続きを可能にしました。
また、文京区と手を組むことで「本当に支援が必要なご家庭」の把握をすることができるようになります。
さらにLINEを使うことによって、単なる食支援だけでなく生活相談を受け付け、そのご家庭の状況を把握し続けることも狙いのようです。
返戻品目当てのふるさと納税に問題提起
ふるさと納税がここまで流行ったのは、節税効果もさることながら「豪華な返礼品」によるものが大きいです。
最近はそれがエスカレートし過ぎて本来の目的である「善意の寄付」という側面が薄れてきているように思います。
豪華な特産物を用意することで、本来見込まれる税収よりダウンしてしまう「本末転倒」な自治体もあるほど。
こども宅食は、ふるさと納税本来の目的である「都市から地方への税収分配」に近づくのではないでしょうか。
今回のプロジェクトは奇しくも文京区という都市への納税となりますが、こども宅食という弱者支援制度が確立され全国的な広がりを見せれば、地方への税収分配にもつながりますし、何より「何の目的に使われているかが明確」であることが良いです。
募金や税金は透明度が低い
世界寄付指数という英国のチャリティ団体が発表している指数がありますが、2016年のデータでは「日本は114位」で、世界規模でみると最低水準となっています。
1位は3年連続でミャンマー、次いで2位がアメリカとなり、先進国だけでなく発展途上国においても「募金は当たり前のこと」なようです。
なぜ日本は募金をすることに抵抗があるのか、それはズバリ「募金したお金がしっかり使われているのか懐疑的」であるからだと思います。
募金で一番有名なのはユニセフでしょうか。
2016年の日本ユニセフに寄付された総額は176億円ですが、そのうち144億円をユニセフ本部へ拠出し、残り32億円の使途はざっくりし過ぎて良くわかりません。
このような状態だと寄附をしようとする気持ちも薄れてきてしまい、汗水流して稼いだお金を他人の私腹を肥やすために使われてたまるか!という気持ちになってしまいますよね。
確定申告をしない文化であることも問題
もう一つ決定的な問題は「国民の大多数が確定申告をしない」文化であることです。
ふるさと納税は条件を満たせば確定申告が不要なので、それで「支払う税金が減る・返礼品がもらえる」のならばと始める方が多いようです。
しかし通常の寄付においては、寄付した団体から領収書をもらい、毎年決まった時期に確定申告をする必要があります。
アメリカなどのサラリーマンでも確定申告が必要な国であれば、「寄付をする→確定申告をして税額控除を受ける」流れは特に面倒な手続きではありませんが、これが日本となると急激に難しくなるでしょう。
また、プロスポーツ選手や芸能人が募金活動を行っているのをよく見かけますが、募金をして領収書をもらう方を見かけることはほとんどありません。
(領収書を発行しているのかも分かりませんが)
以上のことから、日本人で募金をする方の大半は「完全な善意」でもって募金活動をしているのではないでしょうか?
こども宅食が全国に広がっていくには
こども宅食という素晴らしい試みは、できれば日本全国に広がっていって、それが当たり前の世の中になっていくことを願います。
ですが、今のままではそうはならないと思います。
全国的な広がりを見せるには
- 徹底した収支報告を行う
- 確定申告なしで税額控除を受けられる
- 各種メディアで訴え続ける
必要があるでしょう。
こども宅食はこちらから詳しい内容を確認することができます。